仕事を通して世界を知る
category: 人生

皆さん、こんにちは。
私の髪を切ってくださっている理容師さん(女性・Kさん)はまだ30才と若く、しかもキャバ嬢風の雰囲気があります。
彼女は理容師の仕事が本当に好きで、毎日一生懸命お仕事をされています。
腕前も確かで、私なんかはいつも坊主頭なのですが、彼女が切るとスタイリッシュな髪型になります。
今日散髪中にKさんがふと漏らしました。
「私は中卒でこの理容師の世界に入ってずっと来ているから、先日異業種交流会の様な華やかな場に行ってひどく気遅れしてしまいました。遊びの世界を知らずに育ったから世間知らずなんです・・・」
異業種パーティーの様な華やかな場は独特ですから、そう感じるのも無理もありません。
私もサラリーマン時代には、社長に連れられ繁華街の華やかなお店に足を運んだこともあります。
ちょっと自信喪失気味なKさんに私はこう答えました。
「職人の世界はね、技術を高めていく中で人間性を向上させて行くんです。また店の狭い空間に長くいたとしても、一人一人のお客様と深く付き合うことで、お客様を通して世界を知るのです。」
「だから、世間知らずとか自分を劣っているとか思う必要はないですよ。」
普通の人にはちょっと重い話かもしれませんが、Kさんは向上心があってこの様な仕事論や人生論を語ると喜びます。
私もKさんと同じで、狭い店内で一日の大部分の時間を過ごしています。
仕事ばかりしているため、繁華街に出ることもありません。
サラリーマンと比べると人付き合いも多くありません。
私もKさんと同じ状況にある訳です。
しかし、自分自身を振り返ってみると、多忙なベンチャー企業の社員だった頃より、今の気功治療家の方が人間的に成長している気がします。
世の中を知るという点では、一所に長くいますので情報不足・刺激不足になっているかもしれません。
しかし、毎日数人のお客様と深くお付き合いをさせて頂く中で、お客様からとても多くのことを学んでいます。
弊店のお客様は、私にはもったいない位良いお客様がたくさん来られます。(客層がかなり良いのです!)
そのお客様と触れ合う1時間程の時間の中で、直接的なお話しを通して、またはちょっとした所作を通して、「この人は素晴らしいなぁ」と感じ、それが少しずつ自分の血肉となってきました。
また、お客様が病気で苦しんでいるのを目の前にして、「どうしてこの様なことになってしまったのだろう?」、「どうしたら早くこの苦しみから解放されるだろう?」と思索します。
たいてい答えはなかなかすぐには得られません。
そうして色々とない頭を使うことで、知識を本から得たり、直観的に本質を学んだりしできました。
人は自分の仕事を深めていくことで学び成長します。
仕事以外にも、子供たちが打ち込む部活動、主婦の子育てなども同じ様に成長します。
部活動に3年間一生懸命打ち込んだ学生と適当に遊んでいた学生では、前者の方が人間的に成長しているのは自明です。
一つの事を愚直に探究し続けることが、成長になるのです。
外界の多くの刺激は別に無くても何ともありません。
たくさんの友達を求める必要もありません。
たくさんの知り合いも、たくさんの名刺も必要ありません。
「知識は書から得られる。知恵は観察から得られる」
人間を涵養(かんよう)させるのは、知識よりも、知恵であり、更に叡智(えいち)でありましょう。
叡智とは、経験的な知覚においては与えられず、ただ思惟や直観によってのみ把握される超感覚的な認識のことです。
私自身、この言葉を胸に刻みこれからも歩んでいきます。
また分野は違えど、同じ職人の世界で生きている若き仲間達にもこの言葉を贈りたいと思います。
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