2018年GW インド・ヒマラヤ修行記⑦ デリー空港にて
出発便は深夜の1時。
出発ゲートの周囲では、たくさんの搭乗客が眠そうに思い思いの時を過ごしています。
窓の外は熱気と喧騒、インド独特の酸味のある空気が立ち込める世界ですが、ガラス一枚隔てた空港内のこの空間は快適な空気で守られています。
いつもそうですが、このデリー空港で復路の飛行機を待つ間、心からの安堵感に包まれます。
「ようやくここまで来たか」という達成感と安心感が入り混じり、ドロドロの疲れと睡魔が押し寄せます。
今回の旅は若き姉弟子が取り仕切ってくれました。
旅費を抑えるため旅行代理店も通していないので、大人数でのインド修行を企画するのは本当に大変だったと思います。
深夜の空港でくたくたになった姉弟子と二人で話をしていると、姉弟子がこう漏らしました。
「私、インドが大嫌い。何度も何度も来ているけど、いつも帰る時にはもう二度と来るもんかと思うの。」
「でも、しばらくするとまた行かなきゃいけないという気持ちになるんだよね・・・不思議ね・・・。」
姉弟子はインドで長く修行した日本では珍しい方であり、大変な法力をお持ちです。
これまで多くの聖者と交流してきましたが、その能力の高さからどの聖者からも一目置かれてきました。
頻繁に外国に出かけていますから、姉弟子はインドが大好きなのかと思い込んでいました。
私もインドが嫌いです。
不衛生だし落ち着かないし、修行は大変だし、インドでの修行話が持ち上がる度に「また行かなければならないのかぁ」と気持ちが重くなります。
修行費を工面する経済的な心配も持ち上がります。
私は修行で自分を高めなければならないという思いがあるから、この嫌なインド修行に耐えてくることができました。
自分が頑張れば、自分がやり遂げれば、病気のお客様や私の生徒さんが恩恵を受けるのだからと気持ちを奮い立たせてきました。
その思いは正直半分以上が仕事の義務感でしょう。
私は、できることなら綺麗なカフェで本を読んだり、PCに向かっていたりして優雅に過ごしていたい。
山や水辺の気が良いところでのんびりとした時間を過ごしていたい。
辛いことは嫌だし過酷な環境に身を置きたくはないのです。
ただ、私もこれまでその様な気持ちを吐露したことはありませんでしたから、姉弟子の気持ちを聞いて大変驚きました。
「インドが大好きそうに見えていたけど、自分と一緒なんだな。」と共感したのです。
疲労でけだるそうな姉弟子は続けてこう言いました。
「水野君、インドに来ると日本ってホントに素晴らしい国だって思うよね。」
そうです。私もいつも海外に行くたびにそう思っています。
私は日本が大好きです。
できれば日本から一歩も出たくない。
日本にいるとなかなか自覚できませんが、この国の素晴らしさ・伝統、それらを子供達に伝えていかなければならないという強い思いがあります。
確かに日本は日本で問題はたくさんあるけれど、八百万の神々がいる日本・天皇の統べる日本・富士山のある日本、文化度が高く、生命の危険なく安全に暮らすことできる日本は総体的にみればやはり素晴らしい。
私は自分と縁ある少数の人としか関わらないから、一隅を照らすことがしかできない弱い弱い光です。
しかし、私が持ち帰った光・私が放つ光が微力ながらも広がって、誰かの幸せのお役に立つならば、私もインドまで遥々やってきたかいがある訳です。
師匠や姉弟子、修行仲間に感謝を込めて
また、多くの生徒さん、頼りにしてくださるお客様に感謝を込めて
2018年5月22日
水野博友
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