霊性修行は「Slowly Slowly」というけれど~練習ボリュームの重要性~

皆さん、こんにちは。
私が度々密教瞑想講座やサットサンガ(真理の集い)でお話することに「霊性修行はSlowly Slowly」という言葉があります。
これはインドの聖者が語った言葉で、「霊性修行の歩みはゆっくり進むものだよ」という意味です。
霊性修行に励む者は、それぞれに目標があります。
悟りを啓きたい、法力や霊能力を得たい、問題を解決したい・・・等々様々ですが、それを早く手に入れたいと躍起になっている方が多いです。
その様な姿勢に対して、聖者はゆっくりしか進まないし、時間がかかるものですと伝えたのです。
特に正法においてはそれが顕著です。
しかし、一方ブラックな力(邪法)は短期間で得られます。
ブラックな力とは、闇の力・ダークサイドとも言えます。
スターウォーズで言うと「シス」ですね。
その様な修行は、夜中に墓場に忍び込み、人肉を採集して食べたりする等おぞましいことを修行の一環としてすると聞いたことがありますが、私も詳しくは知りません。
こうしたブラックな力は、短期で得られるのみならず、パワーも強力です。
しかし、それには相当の見返りがあり、その代償をいずれ払わなければなりませんから、近づかない方が賢明です。
正法を求める者は、弛まず地道に修行に励まねばなりません。
ですので、忍耐力の涵養(かんよう)が重要となる訳です。
しかし、霊性修行は「Slowly Slowly」といった意味をはき違えている人も散見します。
どの様に勘違いしているのかというと、修行する量が少しで良いと捉えているのです。
私が言う意味はその様なものではなく、成果がゆっくり現れるという意味です。
練習・鍛錬の量が少なくて良いという意味ではないのです。
瞑想を1日20分する人と、1日3時間する人とではその伸長に差が生じるのは当然です。
瞑想も他の技術同様に一定量の練習・鍛錬が必要となります。
他の技術や勉学もそうですが、ある程度の練習ボリュームをこなさなければ上達しません。
他人と同じことをやっていては、せいぜい並みで終わります。
野球選手で超一流の長嶋茂雄さんや落合博満さんはかつて現役だった頃、深夜でも自室でバットの素振りをしていたと聞きます。
才能豊かな人が狂ったように練習をしているのだから、素晴らしい結果が残るのは至極当然です。
野球選手が春季キャンプに参加して、それだけで「練習したな~」と開放感を得ている様でしたら、ユニフォームを強制的に脱がされる日も遠くはないでしょう。
勉強もそうですが、他の生徒と一緒に授業を聞いているだけで独習しなければ、他人より良い成績をとることはできません。
瞑想もそれと同じです。
世界には稀にさほど修行の経験もなく悟りの境地に至る者もいますけれど、その様な人は特別で、過去世でそこまでの準備(=修行)をしてきたものと考えられます。
自分が凡才と思えば、人以上にやらなければ人並みにも届きません。
私は自分自身を凡才と認識していますから、いつも頭の中は治療や修行のことを考えています。
それでも人並み程度にしかなりません。
霊性修行で到達したい目標があるならば、それ相当の努力を要するというのは覚悟した方が良いです。
いくら伝法で力を伝えても、のほほーんとしていてはその芽はあまり大きく育つことはないでしょう。
「天は自ら助くる者を助く」と言います。
それはできるだけの努力をした者だけがその果実を得られるという意味です。
私は自分自身が上から「やれ!やれ!」と強いられるのを好みませんので、他人に対してもその様に行動を強いることは日常しません。
それに安住していてはダメだということです。
仏陀でさえ肉体の現界まで自分を追い込んで修行していますから、それを考えたら自分が為すべきことは自明です。
量をこなして頑張っているつもりでもなかなか自分の成長している実感が得られないという時もあるでしょう。
そんな時でも、地面の下では種が発芽し大きくなっています。
登山では、山に入ってしばらくは森が鬱蒼(うっそう)としている山道を登りますから、どれだけ高所に登っているか見当がつきません。
しかし、ある一定のところまで登り視界が開けた時、「わっ!!こんなに高いところまで来ていたのだ!」と認識できるのです。
霊性修行においても同じで、ある時自分の成長をはっきり認識できる時が必ず来ます。
それを信じて弛まず歩んでいきましょう。
- 関連記事
-
- 2019年3月 修行後記
- 山の行より里の行
- 2018年を振り返って
- 2018年10月 修行後記 ~気功治療家の苦悩~
- 霊性修行は「Slowly Slowly」というけれど~練習ボリュームの重要性~
- 2018年2月 マハー・シヴァラートリーの瞑想会
- 2018年1月修行後記~人間関係の感情をコントロールする~
- 2017年を振り返って
- 山の修行の後に思うこと